慰謝料という言葉はよく使われますが、精神上の損害つまり精神的苦痛を金銭的に評価して行う損害賠償のことを言います。交通事故の場合、慰謝料は、
・傷害慰謝料
・後遺障害慰謝料
・死亡慰謝料
の3つがあります。
1.傷害慰謝料
傷害慰謝料とは、事故により負傷し、つらい思いをしたことで受けた精神的損害に対する賠償です。交通事故実務では、どの程度、入通院を行ったかで、基準を作って、慰謝料の額を算定しています。
以下の表(財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行平成19年「民事交通事故訴訟損害賠償算基準」~いわゆる「赤い本」記載)を用いて算出しますが、別表Ⅰは、通常用いる表で、別表Ⅱは、むち打ち症で他覚症状がない場合に用います。入院をした期間、退院後、通院した期間の交差するところが、入通院慰謝料(傷害慰謝料)の基準額となります。もっとも、これはあくまでも目安であり、裁判になった場合には、様々な事情を考慮して、増減があります。なお、通院期間に関しては、長期にわたり、かつ不規則である場合には、通院実日数の3.5倍程度を慰謝料算定の通院期間の目安とすることがあります。
[ 裁判基準 入通院慰謝料 ] 別表Ⅰ(通常負傷の場合)(単位:万円)

[ 裁判基準 入通院慰謝料 ] 別表Ⅱ(他覚症状のないむち打ち症の場合)(単位:万円)

以上は、裁判基準であり、弁護士が代理人とならない本人交渉の場合は、保険会社は独自の任意保険会社基準を用いて来ますので、額は相当に低くなります。また、 自賠責基準は、原則として、治療期間か実治療日数の2倍のいずれか少ない日数に4,200円をかけて計算を行い、上限は金120万円となります。
2.後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、事故によって後遺障害が生じたという精神的苦痛に対する賠償です。これも、判例の積み重ねによって、以下の通り、一応の基準が作られています。これも、任意保険会社基準というのが別にあり、弁護士が被害者側の代理人に立たない場合は、保険会社は独自の基準に基づく相当に低い慰謝料額を提示してきます。

重度の後遺障害が生じた場合、被害者の近親者にも別途慰謝料請求権が認められることがあります。
3.死亡慰謝料
一家の支柱が死亡した場合は、金2800万円程度、母親、配偶者が死亡した場合は金2400万円程度、その他の場合、金2000万円~2200万円程度が死亡慰謝料の基準となります。死亡慰謝料についても、任意保険会社は、裁判基準よりも、2割~3割程度低い金額を提示してくることが多いです。
4.慰謝料の加算
加害者に故意や過失の程度が重大な場合(無免許、ひき逃げ、酒酔い、著しいスピード違反、赤信号無視など)がある場合、慰謝料が増額されることがあります。また、逸失利益の算定が困難または不可能な場合(外貌醜状、歯牙障害、嗅覚障害等)、将来の手術費の算定が困難または不可能な場合等に慰謝料を増額することで斟酌した事例があります。
