特定調停は、簡易裁判所で行われる債権者との話合いによる解決方法です。
Q1.特定調停とはどのような手続ですか?
A1.特定調停とは、平成14年2月に施行された「特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律」で設けられた制度です。債務者と債権者が簡易裁判所の調停手続を利用して返済額や返済方法について、話し合いにより解決する制度です。
Q2.特定調停はどのような時に選択するのですか?
A2.特定調停は、弁護士に依頼せずとも、債務者の方本人で利用できる手続ですので、弁護士費用が捻出できない場合に用いられることが多いです。高利貸金業者からの債務が多額になる場合、利息制限法に基づく引き直し計算により、債務を大幅に圧縮できるのですが、取引期間が長期間に及び、さらに過払金を請求できるような場合は、弁護士に処理を依頼した方が有利な場合が多いです。このような場合、着手金を捻出できずとも、回収した過払金から支払うという条件で事件を受けてくれる弁護士は多いと思います。しかしながら、過払金が発生せず、債務の圧縮に止まる場合は、このような方法を用いることが出来ません。しかし、かなり債務を圧縮できる場合は、裁判所を利用することによって、圧縮した債務を分割弁済するという方向で解決することが債務者の方にとっては有利であり、かつ、費用も低廉で済むことになります。
Q3.特定調停のメリットは何ですか?
A3.低廉な費用で、利息制限法に基づいた引き直し計算後の圧縮された債務について分割弁済を行うことが可能になることです。特定調停を行うのに必要な費用ですが、債権者1社あたり、
| 印紙代 | 500円 |
| 切手代 | 410円 |
| 合計 | 910円 |
で済みます(裁判所や、債権額によって金額が異なる可能性がありますので、詳しくは住所所在地を管轄する簡易裁判所にお問い合わせください)。例えば、10社を相手に特定調停を起こした場合でも、9100円の費用で済むわけです。
また、特定調停の申し立てた後の貸金業者の取立ては法律で禁止されているため、その厳しい取立てを止める事ができます。 しかし、申立までに若干時間が掛かりますので、その間の取り立てを止めることは困難です。
任意整理と同様、特定の債権者だけを絞って債務整理を行うことができます。
Q4.特定調停のデメリットは何ですか?
A4.自己破産とは異なり、特定調停では、免責を得ることはできず、利息制限法に基づいた引き直し計算後の債務については支払っていく必要があります。一般に3年間で弁済する必要がありますが、話し合いによって5年間の長期分割弁済が可能になることもあります。この支払の目処が立たなければ、自己破産を考える必要があります。また、話し合いをベースとした解決方法ですから、債権者が了解しなければ解決に至りません。
また、弁護士を利用しない場合には、簡易裁判所で開かれる調停期日に出席する必要があります。これは平日の日中に開かれますので、仕事を休まなければならないというデメリットが生じます。
申立書は法律の知識のない方でも作成できるようになっていますが、それでも慣れない書面を作成するのは一定の負担となります。
調停が成立すると、調停調書と呼ばれる書面が作成されますが、この調書に記載された事項は裁判上の和解(判決)と同じ効力をもちます。 従って、この調書で決められた約束を守らず、返済が滞った場合には、債権者から給料の差し押さえ等の強制執行をされる事があります。
過払金があるような場合には、特定調停の手続で、その返還を求めても話し合いが成立することは難しいと思います。
Q5.特定調停を申し立てるにはどうしたら良いのですか?
A5.住所地を管轄する最寄りの簡易裁判所へ、まず申立書用紙をもらいに行く必要があります。石川県内の簡易裁判所では、書式を公開しています。
しかし、各地によって、書式は微妙に異なりますので、やはり最寄りの簡易裁判所で申立書用紙を貰った方がいいでしょう。
この申立書に必要事項を記入した上で、簡易裁判所に添付書類とともに提出します。
申立書以外に必要な添付書類は、概ね以下のものです(これも各裁判所によって微妙に異なります)。
- 関係権利者一覧表(全ての債権者の氏名・住所・初回契約年月日、借入残高などを記入)
- 住民票
- 戸籍謄本
- 給料明細、源泉徴収票など、収入を証明する書類のコピー
- 資産状況調査表(不動産や車などがあれば、それに関する書類)
- 家計簿など
Q6.特定調停の申立後の手続はどのようになりますか?
A6.申立後、1~3週間程経過しますと、呼び出しの通知が裁判所より届きますので、その通知書にかかれている日時に裁判所に出頭します。期日には、裁判所から選任された2名の調停員が、双方より話しを聞いて、話し合いが成立するよう努力してくれます。調停が成立するまでには、債権者の数にもよりますが、最低2回から4,5回の期日が開かれることになります。
無事に話し合いが成立すると、調停調書と言う話し合いの内容をまとめた書面を裁判所が作成し、それを後日郵送してきます。
その内容に沿った弁済を続けていくことになるわけです。
